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2017.3.31
世界中の森林に生息する鹿は、古来から人間にとって身近な動物でありながら、神話や物語のなかで神聖視される存在でもありました。毎年生え変わる牡鹿の角は、昔からお守りや魔除けになる縁起物として扱われてきました。野生の鹿が住む山梨県道志村に移住し、鹿に魅せられ、鹿角アクセサリーを制作する山元真一郎さんの工房にお邪魔しました。
ライター 盛林まり絵

鹿角との運命的な出会い

鹿角アクセサリーをつくりはじめたきっかけは何ですか?

最初は家具や木製品などをつくる木工作業を専門にしていて、そのための工房を15年ほど前に始めました。工房の近くによく鹿が遊びにきていて、元々鹿が好きだったこともあり、工房の名前を「Deer(=鹿)」と名付けたんです。そして木工工房を続けていたんですが、2年前に地域おこし協力隊で猟をしている方から「鹿の角でアクセサリーをつくれないか」と相談されたのがきっかけです。試しにやってみたら面白くてハマってしまいました。工房の名前をつけた頃はこうなるとは思っていなかったんですが偶然の一致で、今は木工よりも鹿角に集中して取り組んでいます。

昔からものづくりが好きだったんですか?

ものづくりというか、元々音楽が好きだったんですけど、新しいものをつくるのが好きでした。木工は多くの方がてがけていますが、本格的に鹿角でアクセサリーをつくっている人はそんなにいないので、未知の世界だから面白いです。クリエイトという意味では音楽も鹿角もどちらも楽しいし、夢中になりますね。

鹿角の加工で難しい点、面白い点はありますか?

硬いから鋸がほんの少しでも曲がったら思い通りにできません。あと、完成品は全く匂わないんですけれど、削っているときは凄く動物臭いんです。今はむしろ好きな匂いになりましたけど(笑)。
面白い点としては、鹿角の芯の部分は血流が通っていたところで、が入っているんですが、どのぐらい入っているかは個体ごとに違うから、つくり始めるまでわからない。違いに合わせてつくっていくのが面白いですね。同じものは絶対にできないんですよ。

鹿角に何かを感じて人は興味をひかれる

鹿角アクセサリーの特徴、おすすめのポイントは何ですか?

硬いけれどしなやかさもあって丈夫です。長く使うと飴色になってツヤが出てきます。そして、昔から鹿の角は生命力とか強さの象徴で幸運のお守りなどに使われているので、鹿角アクセサリーからも何か感じるものがあるのではないでしょうか。自然の何かなのか、生命力なのか、動物の何かなのか。鹿角アクセサリーを目にした小さな子どもが釘付けになってしまい、親が引っ張っても動かないときもあるんですよ。そういう子は何かを感じているのかなと思います。

購入するのはどのような方が多いですか?

小学生から年配の方まで幅広い年代の方にお買い上げいただいています。男性も女性も気に入ってくれています。年配の女性は象牙のイメージがあるのか、興味をもってくれる方が多いですね。
一度購入してくれた方が、リピーターになってまた来てくれるケースも多いです。アクセサリーは一品よりいくつかあった方が使いやすいですしね。

今後の目標はありますか?

水牛の黒い角と組み合わせたものは既につくっていますが、皮と組み合わせたりもしてみたいですね。そして、もっと極めて、もっと洗練させていきたいです。やっぱり一番にならないと。鹿角ではディアだよねっていわれるぐらいにならなきゃと思っています。

道志村に移住して後悔はまったくない

道志村に移住した経緯を教えてください。

以前は東京で銀行員として働いていました。木工の経験はありませんでしたが、木工がやりたくなって勉強していたんです。でも都内では粉塵とか騒音が問題になるので、木工ができる工房を探そうと思い、東京から100キロ圏内の埼玉、栃木、千葉を見て回りました。そのなかで一番自然が多かったのが道志村だったんです。平成12年にここに家を建て、14年に住み始めました。道志村に来て17年目、年齢は51歳になりました。

銀行員時代と比べて現在の収入はいかがですか?

とても比較になりませんが、都会とここではお金の使い方が違いますから。一時間ぐらいかけてスーパーに買い物に行くのも息抜きになって楽しいんです。何かに追われるような気持ちがないし、何事にもしっかりと向き合えるんですよ。後悔はまったくありません。
村ではひとつの仕事だけで稼ぐのは難しいので、NPOの森林整備なども手伝いながら、一番やりたいことに力を注いでいます。

良い距離感で人付き合いできる村

道志村のいいところは何ですか?

移住してくる方がすんなり馴染めるところですね。多分、本当に保守的な地域だとそこから弾かれてしまうか、全面的にそこに入り込まなければいけないと思うんです。でも道志村は意外と都会へのアクセスがいいし、村の外に進学する子も多いから、都会の人に慣れているんじゃないでしょうか。新住民と村の方とが良い距離感を保ってお付き合いできるのが良いところだと思います。

住居にはいくらぐらいかかりましたか?

村ではやはり先祖代々の土地を守っているので、基本的に土地の売買はなく、賃貸が多いんです。この土地も地主さんに賃料を払っています。知っている範囲では村外から来る方は大体100坪ぐらいで賃貸しています。賃料は年間15万円前後じゃないでしょうか。家の建設には母屋(居住スペース)と仕事部屋・作業スペースを合わせて1200万円ぐらいかかりました。家の購入と土地の賃貸はセットなので、契約を結びつつ、砂利をひいたりして土地の整備をしました。

村に対して、どのような想いがありますか?

鹿角アクセサリー制作の根底にあるのは、村を応援したい、協力したいという気持ちです。ただ、それを先に出してしまうのはちょっと違うと思うんです。自分の制作のクオリティを上げていけば、村の人材として認められると思いますし、そうなって初めて村に貢献できるのではないでしょうか。

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