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2017.3.24
小菅村産の木の帯を使ってカゴやコースター、バッグなどを編みあげる「きおび編み」。
一つひとつ手作業で作られる工芸品はヒノキの香りと木の温もりに溢れ、長く使えば使うほど木の色が少しずつ飴色に変わり、味わいを増していきます。
このきおび編みを開発した小泉みつるさんのお宅を訪ね、ご主人のまもるさんもご一緒にお話を伺いました。
ライター 盛林まり絵

村の特産品を作りたいという想いから誕生

きおび編みをはじめたきっかけは何ですか?

平成13年、小菅村に住む定年後の仲間達が集まって“悠々自適に老後を暮らそう”というコンセプトで「ゆうゆう倶楽部」を結成しました。村の議員さん達が視察旅行で見た木工品を参考に、ゆうゆう倶楽部の皆で小菅村の特産品を作れないかと考え、木の帯を竹細工の要領で手編みするきおび編みが生まれたんです。村の林業に貢献したいというほど大それた気持ちでなく、元々編み物が好きだったので始めたんです。

完成するまでに苦労した点は何ですか?

何の木がいいのか、どういう切り方がいいのか、皆で集まって、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しましたよ。編みやすく長持ちするものを作るには、丸太の切り方を板目(いため)でなく柾目(まさめ)にしないと駄目だという結論に辿り着くまでが大変でした。木の種類はやっぱりヒノキがいい。材料の木帯は貴重なもので、長い帯は樹齢100〜200年ぐらいの大木からしかとれません。時期を見計らって、仲間達と一緒に山へ行ってひいてくるんです。

“作る喜びを売る商売”をしよう

きおび編みの特徴は何ですか?

編むこと自体の楽しさですね。皆さん一度編むと必ず、もうひとつ編みたいって言います。木の感触がたまらないって。材料となるヒノキの木帯は霧吹きで水を吹くといい匂いがうんとします。作ったものは何十年ももち、時を経るごとに色や手触りが変わっていくのがまたいいんですね。

売れ行きはいかがですか?

私は趣味でやっているから、あまり売りには出さないんですよ。編むことがただ楽しくて、楽しくて(笑)。編みすぎて腱鞘炎とばね指になってしまったぐらい、編み続けてきたんです。

とにかく編むのが楽しいというから、“作る喜びを売る”商売にしようと言ってね。そういう発想でやってきたんです。お金儲けのためじゃなく、楽しみながら続けていこうと。

後継者はいますか?

最初ゆうゆう倶楽部のメンバーは40人ぐらいいたんですが、だんだん年をとって来られなくなって、数年前には3人ぐらいになってしまってね。後継者がいないし、もう終わりにしようかと思っていたんです。そんなときに政府が進める地方創成で都会から移住してきた方々が、きおび編みの価値を認めてくれたんです。編み方を覚えた若い人は販売したり、情報発信したりしているので、私はそれを応援しています。私は作る楽しみを売ればいいんですよ。楽しんでもらいたいの。頼まれれば今も無料で工房で教えています。

きおび編みを通して若い移住者とも交流

移住して来た方々ときおび編みを通して交流が広がっているんですね。

主人にいつも「村に研修や授業で来る学生さんや移住してきた方々に、とにかく親切にしろ」って言われているんです。だから、きおび編みを学びに来る方達にもお茶飲もうって誘います。お茶を飲んで喋るのがいいんですよ。移住してきた若いお母さん、お父さんが何人も来ます。そういうときに、赤ちゃんのおぶい方を知らない若いお父さんがいれば、お茶を飲みながら教えてあげるの。NPOの人達に「小菅村ならではの料理を教えてくれろ」って言われて、小菅の野菜の煮方や食べ方も教えましたよ。

赤ちゃんと若いお母さん達が家で二人でじっとしてるとストレスがたまっちゃうから。お茶を飲んでワイワイガヤガヤ喋っていると癒されるそうですよ。世のため人のためなんて大それたことじゃなくて、自分達がやることで人が喜んでくれるなら幸せじゃないですか。

小菅村の暮らしで良いところは何ですか?

人がいいんですよ。誰かが訪ねてくれば、食ってけ、飲んでけ、持ってけ、休んでけって(笑)。困ってる人がいれば何でも分けてあげちゃう。

この村に移住して来るのは、裕福で余裕がある人達とは限らないじゃないですか。色々な事情があって来てると思うんです。その人達がお腹をすかせている様な状況にしたくないんです。村民はみんなそう思っていますよ。優しくて世話焼きでね。でも逆に言うとおせっかいも多いってことだから、新しく来た人からすると煩わしい部分もあると思います。そこは僕らも自覚するようにしてるけどね。困ったときには力になります。

あとは、災害がないから暮らしやすいですね。数年前に大雪が降ったぐらいのものですから。

若い人達が新しい発想で続けてくれる

きおび編みの未来についてどう考えていますか?

もう年だからこちらから大勢に積極的に呼びかけることはしませんが、きおび編みを覚えたいという人がいれば受け入れる気持ちはいつでもあります。

今までこの人がそうしてきたように、これからは若い方々が新しい人達を受け入れ、教えていってくれれば嬉しいですね。

小菅村の小学校ではこれから、きおび編みを授業で取り入れることになったそうです。でも小菅の人より移住者の皆さんのほうが一生懸命やっているんです。若い人達は私とは年代も発想も違いますから、クリスマス用のオブジェとか栞入れとか新しい物を作っていますよ。それをお金にしようとしっかり頑張っています。皆さん、お利口さんなんです。そういうやる気のある若い皆さんが続けてくれると思います。

小菅村の未来に向けて、これからやりたいことは?

実現は無理かもしれませんが、村の各家庭で作る自家製の漬物と味噌を持ち寄って販売する機会が作れれば面白いなと考えています。

もっと若ければ、小菅村ならではの食をたくさんの人に食べさせたいですね。

実際に活動していることとしては、仲間達と一緒に村の通りにもみじの木を植えているんです。将来それが村の物語となり、きれいなもみじ街道となることを夢見て、これからも活動していきます。

小泉さんご夫妻

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